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慶應義塾ITP派遣生からの現地報告書です


by keio-itp

2週間

ETHの猪谷です。

今回の滞在も残すところ2週間強となりました。研究のほうも大詰めで、
少しづつではありますが結果がではじめました。残り2週間できりの良い
ところまで進めてしまおうと考えてます。

今日はblogもあと残り2回ということで、簡単な研究報告を。

さて現在、私が研究対象としている系は冷却原子気体とよばれる系です。
読んで字のごとく、非常に冷やした(1μK以下!!)原子の気体です。

一般の物質では、どの物質を使うかによって、粒子間の相互作用の大きさが
決まります。相互作用の大きさはその系を特徴づける重要なパラメータです
が相互作用そのものを観測することは極めて困難です。

しかし冷却原子系では、磁場を使うことによって原子間の相互作用の強さを
操作することができます。そのため相互作用の大きさと系の性質の関係を直
接的に測定することが可能で、量子統計力学の基本的な性質をさぐるツール
として現在活発に研究がおこなわれています。

この研究テーマについては日本にいる際にやりたいなあと考えていたもので、
こちらに来てから、Sigrist先生と相談しやってみようということになり始めました。
2月中は主にFormalismをまとめました。まずHamiltonianを立て、適当な近似
を選び、その近似の範囲内における解くべき方程式を書き下す、という作業です。
物理的なエッセンスはほとんどこの作業の中に含まれますので、Sigrist先生とも
議論しながら、調べたい効果、物理などについて理解を深めました。

3月に入ってから方程式を解く作業に入りました。今回の方程式は、解析的に解く
ことは到底不可能なので、もちろんコンピュータを使ってときます。つまりプログラム
を組む作業に入りました。淡々とこなす作業です。

4月になりプログラムが少しずつ動き始め、計算結果が出るようになってきました。
今後は少しづつ改良をしつつ計算を行う予定です。

今後派遣される方の参考になればと思います。


さて、残り2週間。やらなければいけないこと、やりたいこと色々あります。おそらくすべて
こなすのは無理でしょう。しかし、せっかくの機会ですので自分の欲望に忠実に残りの2週
間過ごして行こうと思います(笑)

最後にお写真を。

こちらにきた当初のETH
2週間_e0194142_17401860.jpg

と、最近のETH。
2週間_e0194142_1741311.jpg

こうしてみると2カ月半の時間の流れを実感できますね。

なんだか最後みたいですが(笑)もう1、2回は書きます。お付き合いください。

では。

猪谷
by keio-itp | 2010-04-14 17:45 | 2010年ETH・猪谷