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慶應義塾ITP派遣生からの現地報告書です


by keio-itp

カテゴリ:2012年コペンハーゲン大学・永井( 22 )

帰国しました

コペンハーゲン大学に滞在していた永井です。

3月22日には「作用素環セミナー」と「解析と幾何セミナー」の合同セミナーで、滞在中に得た結果について発表しました。質問に答えたり、議論をすることで、研究のフィードバックを得ることができました。また、名誉教授のFuglede先生には自身のタイリング関連の論文のコピーをもらうことができました。これについては全く知らなかったことだったので、思わぬ収穫であったと言ってよいでしょう。

その次の週の水曜からは、イースターの休日となり、大学が休みになってしまいました。私も研究はほどほどにして、美術館に行くなど、観光をしました。そして土曜日の30日の便に乗って、日曜日に成田に到着しました。

今回の滞在では、作用素環セミナー・解析と幾何セミナー・記述集合論セミナー・トポロジーセミナーなどのセミナーや、研究集会に出席した他に、質問をしたり、議論をする機会を求めることで、多くの知識を得ることができました。その中には、私の研究と関連があるが、自分で勉強するだけではなかなか気づかないようなこともあります。また、そうした中で結果を出し、上記のようにセミナーで発表することもできました。そのほかにも、デンマークと日本の文化の違いを学ぶこともできました。例えば、デンマークでは、大学院生でも土日はしっかり休んだりします。しかし、そのようにゆっくり休む時間を持つことも、研究について一歩ひいた視点から眺めたり、リフレッシュして次週から高い集中力で研究に臨むことができるなど、長所があると思います。

ここで国際センターのみなさん、ITPに関わった教員のみなさんに感謝の意を述べたいと思います。ありがとうございました。
by keio-itp | 2013-04-01 17:08 | 2012年コペンハーゲン大学・永井

一陽来復

コペンハーゲンの永井です。

今日は、最近めったに見なかった雪が降りました。しかし日差しは明るく、暖かくなる一方で、春近しという感じです。

ここのところは、ユークリッド空間の良いタイリングについての理論を含む、「局所コンパクト群の閉離散部分集合」の理論について論文を読んだり、必要な命題を証明することに追われていました。

コペンハーゲン大学では、トポロジーという分野も盛んに研究されています。時間がないので、トポロジーセミナーまでは出席していなかったのですが、先日行われたものには出席してみました。代数的トポロジーの話で、知識が足りないためなんとなくわかったという程度でしたが、興味深いものでした。歴史に通じていないので正確なところは分かりませんが、ポアンカレという数学者が代数的トポロジーに重要な貢献をしたのは間違いありません。ちなみに、ポアンカレは力学系という分野にも多大な貢献をしました。私の研究はトポロジーと力学系の両分野と関わりがあり、ポアンカレの強い影響下にあります。100年以上も数学の世界に大きな影響を与えるのはすごいと思いますし、自分の研究もそうでなければならないと思いました。

残りの日程も有意義にすごしたいと思います。
by keio-itp | 2013-03-14 05:08 | 2012年コペンハーゲン大学・永井

NemID

コペンハーゲンの永井です。

気温は氷点下になることも多く、曇りや雪の日も多いですが、12月の暗いコペンハーゲンを経験したものとしては、天国のような環境です。

最近のdescriptive set theory seminarでは、「可算Borel同値関係」についての論文の紹介が行われています。当初は、自分自身の研究とはあまり関係ないかもしれないけど、一応でておくか、という程度の動機で出席していました。しかしよく考えると、自分の研究と関連するところで、「可算Borel同値関係」が自然に登場するようです。私の現時点での研究に直結するかはわかりませんが、このセミナーに出席できたのは思わぬ収穫であったと言ってよいでしょう。

ここでの報告が遅れましたが、上記のように、日々色々なことを吸収できているので、滞在を一か月延ばし、3月30日までとさせていただきました。そのために、デンマークの滞在許可を延長しなければならず、先週はその手続きに時間をとられてしまいました。

デンマークでは、「NemID」という、電子サインのシステムがあります。これを取得するために、パスポートとIDカードを持って窓口に行ってきました。ログインのIDと暫定的なパスワードが渡されるので、それを用いて所定のホームページにログインします。まずパスワードを変更します。窓口では、4ケタの番号と、それに対応するキーコードの組がたくさん書いてある紙も渡されます。パスワード変更後、4ケタの番号が表示されるので、対応するキーコードを入力します。以上で手続きは完了です。以後インターネット上でサインが必要なときは、IDとパスワードを入力したのち、表示される4ケタの番号と窓口で渡された紙をみて、対応するキーコードを入力すれば、サインしたことになります。今回、滞在許可の延長手続きの最後にサインをする必要があったので、上記のNemIDが必要でした。確かに、これがあれば、様々な手続きがインターネット上で行えるようになり、コストダウンになるのではないかと思います。

残り一か月と少しですが、今までどおり、セミナーにでたり、質問や議論をしたりすることで、多くのことを吸収し、また自分の研究に磨きをかけたいと思います。
by keio-itp | 2013-02-25 20:55 | 2012年コペンハーゲン大学・永井

氷下魚

コペンハーゲンの永井です。

先週から大学院の力学系の授業が始まりました。私が研究しているタイリングの理論は、力学系と深い関係があります。しかし力学系についてはきちんと勉強したことがなかったので、知識を補うために聴講することにしました。授業の期間は2か月ですが、週に講義が4時間、演習が3時間あるので結構進むと思います(時間がないので、演習には出席しませんが)。今のところ知っている内容も多いですが、それでも勉強になります。

作用素環セミナーでは、コペンハーゲン大学でポスドクをやっているTyroneが、群の表現について発表しました。代数と解析にまたがる非常に難しい研究で、なにやらすごそうな感じはしましたが、内容については正直あまりわかりませんでした。

研究のほうは、現時点持っている結果をもう少し強められるのではないかと奮闘しましたが、反例がみつかり、この結果についてはひとまず満足することにしました。今後は、Rudin-Shapiro数列について研究します。


いつのまにか、院生室の前の掲示が新しくなっていて、私の名前が載っていました。

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by keio-itp | 2013-02-11 20:57 | 2012年コペンハーゲン大学・永井

tea party

コペンハーゲンの永井です。

冬至から一か月が過ぎ、日差しも明るさを増してきました。一方で気温は徐々に下がっています。最も寒い時でマイナス20度になるという噂も聞いたことがありますが、こちらでは建物の中(廊下も含めて)は暖かいので、なんとかやり過ごせるのではないかと考えています。

先週は、タイリングを研究している博士の学生のdefenseがありました。作用素環セミナーは休み。幾何と解析セミナーは2つありました。そのうちの一つはプリンストン高等研究所の研究者によるものでした。アインシュタインがいたことで有名なあの研究所です。私の研究とはあまり関連がなさそうでしたが、アブストラクトに書いてあった「random lattice」というものが気になったので出席しました。

コペン大数学課では毎週木曜に「SYM Ph. D. cake club」なるものがあります。毎週持ち回りで博士の学生の誰かがケーキを焼いてきて、博士の学生みんなで食べます。以前、博士の学生はたいてい毎日一緒にランチを食べに行くと書いたような気がします。これらは良い習慣だと感じています。慶應でもまねた方がよいかとは思いますが、博士の学生の数が少ないのでなかなか難しいでしょうか。

その他にも、先週から数学課全体のtea partyも新たに始まりました。紅茶とクッキーがでて、みんなで食べながら交流しようというものです。
by keio-itp | 2013-01-29 21:41 | 2012年コペンハーゲン大学・永井

Toeplitz数列

コペンハーゲンの永井です。

先週はITPをお休みして、フランスのマルセイユで開かれていた研究集会に参加しました。土曜日に帰ってきて、昨日の月曜日からコペンハーゲン大学での研究活動を再開しています。

研究集会では様々な知識を吸収しましたが、その中で「Toeplitz数列」というものに特に興味を抱き、昨日から論文を検索したり、読んだりしています。これは周期的なタイリングのように完全に秩序だっているわけではないですが、それでもかなりの程度秩序があり、その点を面白いと思っています。今後はこれを例の一つとして考慮に入れながら、タイリングに現れる秩序について研究するつもりです。

今週の金曜日には、博士の学生の博士論文公聴会があります。日本でもそろそろこの季節でしょうか。彼女はタイリングについて研究しているので、楽しみです。

話は変わりますが、デジカメが壊れてしまったので写真が載せられません。携帯で撮った写真をパソコンに移すようにできるまで、写真は休ませてください。
by keio-itp | 2013-01-22 22:47 | 2012年コペンハーゲン大学・永井

フランス語

コペンハーゲンの永井です。

新年の活動は1月2日から始まり、また大学には活気が戻りました。研究のほうは、model setなるものの定義を勉強し終えて、それと関連のあるmeyer setなるものの同値ないくつかの定義について必要最低限の知識を得ようとしている一方、Baake等の論文で「MLD」なるものを勉強しています。これは建物で言えば基礎工事で、その上にどのような建物(=論文)を建てるかは決まっていて、見通しも十分あるので、今は基礎をがっちり固めています。

ところで、先日通学途中に郵便局の前でベビーカーがほっぽってあって仰天しました。なかにはちゃんと赤ん坊が入っています。いくらコペンハーゲンが安全だからといってこれは不用心すぎでしょう。安全ということで言えば、こちらでは暗くなってから大きい公園に入っても大丈夫です。ニューヨークのセントラルパークではそうはいかないでしょう。私はいつも暗い公園を通って宿舎に帰っていますが、子供がふつうに歩いていたりするので安全なのだと思います。星が見えたりしてきれいだったりもします。とはいえ、宿舎の知り合いは鍵を開けたまま少し大学のオフィスを後にしたら、その隙にパソコンを盗まれたといっていましたから油断はできません。

ところで、現在取り組んでいるタイリングと力学系の理論は、フランスで非常に盛んに研究されています。いろいろフランスの大学のホームページを見ると、楽しそうなセミナーが開かれているのですが・・・どうやらフランス語で主にやっているようです。一応第二外国語はフランス語で、フランス語の数学の教科書は読めますが、フランス語のセミナーを聞いてわかるようになったほうが良いか?と思っています。
by keio-itp | 2013-01-08 22:59 | 2012年コペンハーゲン大学・永井

休暇

コペンハーゲンの永井です。あけましておめでとうございます。

クリスマス前の週末から大学は休暇となりました。新年はあまり休まないと聞いているので、明日からまた始動するのでしょう。

私も先週一週間はあまり働かずに休んだりコンサートに行ったりいろいろしました。
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写真は市街の北にある「鹿公園」です。名前のとおり鹿がいます。広大な公園で、2時間ほど歩き回りました。

新年を迎える夜には町中が大騒ぎになりました。500メートルくらい歩くごとに打ち上げ花火を打ち上げる人がいて、そこらじゅうから花火が上がります。音だけ聞くと戦場のようです。きれいでしたが音には辟易しました。

おせちを食べることができないのは大丈夫ですが、お餅くらいは食べたくなってきました。たぶん日本の食材を売っている場所があるとは思うので、頑張れば食べれるかもしれません。一番のハードルは金網でしょうか。
by keio-itp | 2013-01-01 22:50 | 2012年コペンハーゲン大学・永井

またdefence

コペンハーゲンの永井です。

最近は気温が4度くらいまで上がって、過ごしやすい日々が続いていました。

先週の金曜日にはまたdefenceがありました。今度はトポロジーの学生でした。その前にtent mapについてのエルゴード理論のセミナーもあり、これにも参加しました。また火曜日に記述集合論のセミナーもあり、universal minimal flowについて勉強しました。その他は院生室で勉強・研究していました。最近はコペンハーゲンに来ていろいろ考えたことの現時点でのまとめをするために、Meyer集合というものについて解説の論文を読んで勉強しています。

最近は日の入りが早く、暗くなってきました。数学課の建物はこんな感じです。
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参考資料:5月の同じ建物
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ちなみに先週のdefenceで博士号をとったトポロジーの学生は、今日学校を去り、2月のはじめまでバカンスだそうです。文化の違いを非常に感じます。私も1か月間バカンスしてみたいです。
by keio-itp | 2012-12-19 18:52 | 2012年コペンハーゲン大学・永井

ロシアの風

コペンハーゲンの永井です。

先週からロシアから風が吹いて、雪が毎日降って大変でした。
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先週はセミナーが三つありました。ひとつは、群が大きすぎてPolish位相が入らないという内容、もう一つは群作用の例に対応する接合積C*環の研究、もう一つはLie群の多様体への自由でない作用についてでした。どれも興味深いものでした。

先週の金曜日にはまた博士の学生のdefenceがありました。Rordam先生という有名な作用素環の先生の学生で、無事博士号を取得しました。午前中にこれをやって、昼に打ち上げ。そのあと14時からクリスマスランチがありました。夜までずっと食べたり飲んだり、踊ったりの宴でした。プレゼント交換みたいなやつでチョコレートをいただきました。

研究のほうは、タイリングに現れる規則性や不規則性を調べるために、タイリングの理論を研究するだけでなく、問題を力学系の言葉に翻訳してエルゴード理論などの強力な道具を使おうとしています。夏に勉強した「スメール空間」が意外と役立つかもしれないと気づき、それについて考えています。
by keio-itp | 2012-12-11 18:23 | 2012年コペンハーゲン大学・永井