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慶應義塾ITP派遣生からの現地報告書です


by keio-itp

カテゴリ:2010年エコールポリテク・中村( 9 )

最終週

こんにちは。
パリ、エコールポリテクニク大学滞在中の中村です。
今日で二ヶ月間のエコールポリテクニク滞在が終わり、
明日の朝の飛行機で日本へ帰国することになりました。
出発準備などでばたばたと忙しいのですが、最終週の
出来事を報告したいと思います。

何度も書いて申し訳ありませんが、今回の滞在の目的は
エコールポリテクニクのシェネヴィエさんと「(φ、Γ)
加群の族のガロアコホモロジー」について共同研究する
ことでした。前のブログではやっと少しだけ結果が出た
と書いて、それからどんどん解決していこうといろいろ
頑張ってみたのですが、そう簡単には出来そうにない(
と自分には思える)ような問題にぶち当たってしまった
ようで、どうやって解決したらいいか今のところ全く分
からない状態です。今のところ全く解決方法が思いつか
ないけど、シェネヴィエさんもこの問題をこれからもやり
続けようと言ってくれたので、日本に帰国してから、もう
一度(φ、Γ)加群やp進周期環及びそれらへの色んな作用
素の性質をしっかり勉強し直してから、もう一度この問題
に取り組みたいと思います。

明日の準備があるので、また帰国後にちゃんとまとめた
感想を書きたいと思いますが、今回の滞在で、初めて三角
表現に関する共同研究というのを経験したのですが、
結果はまだ得られていないけど、とにかくすごく勉強に
なったというのが感想(の一つ)です。特に、自分は今まで
Bペアしか使っていなかったので、(φ、Γ)加群について
深い事は何も知らなかったのだけど、今回の滞在で(φ、Γ)
加群の奥深さをいろいろと教えてもらうことが出来ました。
結果を得る事はまだ出来てないけど、解くべき問題は山の
ようにできたので、帰国後もBペアと(φ、Γ)加群の
研究を続けて、さらに、坂内研の人たちにも今回得た知識を
少しでも伝えられたらいいな、と思います。
by keio-itp | 2010-11-20 07:37 | 2010年エコールポリテク・中村

6週目

みなさんこんにちは。
パリ、エコールポリテクニク大学滞在中の中村です。
約2ヶ月間の滞在も半分以上が過ぎ、残り約20日ほど
となりました。

さて、研究についてですが、先週まではChenevierさんと
の共同研究で何も特筆すべき成果を挙げることが出来なくて、
無駄に焦ったりこのまま何も出来ないまま帰るのではと思ったり
して鬱々としていたのですが、うれしいことにようやく少しだけ
形のある進展がありました。何度もこのブログに書いてあるよう
に、今回の共同研究の目標は「一般のp進体の場合の(φ、Γ)
加群の族のガロアコホモロジーの計算方法を確立すること」なの
ですが、先週ようやくこの問題にとって重要ないくつかのステッ
プの内の一つを解決することができたような気がしました。
気付いてしまえば簡単なことだった、という感じの解決の仕方
だったのですが、自分がこれまでに研究してきたB- ペアの理論
をうまい具合に使って証明するので、自分としてはこの一歩に
満足しています。
もう一方の、一人で取り組んでいる「B-ペアの明示的相互法則」
の研究ですが、先々週くらいまでになんとなく分かった(と自分で
は思っている)証明のステップの、最初のステップの細部を詰めて
いる段階です。まだまだ時間がかかりそうですが、B-ペアだけでは
なく(φ、Γ)加群もたくさん使っていろいろと証明するので、
Chenevierさんとの共同研究で身に付いた技術が色々と役にたって
います。

エコールポリテクニクでは、最初の数週間はChenevierさん以外に
話す人がいなかったのですが、同じオフィスにたまたま九州大の
石井豊さんという複素力学系が専門の先生が滞在していることに
気付いて、たまに一緒にお昼ご飯につき合って頂いて公募書類の
書き方や講演でのアピールの仕方などについていろいろとアドバ
イスをしてもらっています。その他に、Colmez先生の学生の
Wang(王)君という中国人の学生が話しかけてくれて、お互いの
研究の話をしてみたら「eigencurve 上のオイラーシステム」の
研究をしているということで、丁度今自分がやっている「B-ペア
の相互法則」とすごく関係がありそうだったので、彼からいろい
ろと教えてもらったりしています。

それ以外には、木曜日にJussieu大学のセミナーに参加したら、たま
たまその大学のBruno Kahnさんのところに研究打ち合わせに来てい
た東北大の山崎隆雄先生に出くわして、次の日の昼にBastilleの駅前
にあるムール貝専門のチェーン店で、ムール貝定食(?)をごちそう
になりました。

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先週土曜日の散歩中の一風景
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デモの様子3
by keio-itp | 2010-11-02 04:15 | 2010年エコールポリテク・中村

3、4週目

こんにちは。
パリのエコールポリテクニク大学滞在中の中村です。
ブログの更新が遅れてしまい申し訳ありませんが、
3、4週間目にあった出来事についての報告をした
いと思います。


シェネヴィエさんの引っ越しが終わり、3週目から
ようやく本格的に共同研究が始まりました。
「一般のp進体の場合のクリスタリン表現のザリスキ
ー稠密性定理」というのを、「(φ、Γ)加群の族
のガロアコホモロジーの理論」を研究することで証
明しようという目的なのですが、やはり一般のp進体
の場合は(φ、Γ)加群という対象を具体的に扱うの
が難しいという問題が回避出来なくて、一筋縄では
いかないような気がしてきました。
さらに、この問題を議論しているうちに、それらの
問題と関連していそうなRobba環上の(φ、Γ)加
群の一般論に関するいくつかの興味深い問題も見つ
けたので、それらについても一緒に考えているので
すが、この問題もなかなか難しいところが多そうで
今のところ特に目立った進展はない状況です。
といった感じで、まだまともな研究成果は何もあげ
られていませんが、日々研究したりシェネヴィエさ
んと議論したり色々と教えてもらったりしたことで、
来る前に比べて(φ、Γ)加群に対する自分の理解
度がぐんと深まったような気はするので、その点は
満足してもいいのかな、と思っています。
シェネヴィエさんとの共同研究以外に、「Bペアの
明示的相互法則」という問題も考えていたのですが、
こっちのほうは(細部はまだ詰めていませんが)証
明はだいたい出来たような気がしてきました。

2週目までは、エコールポリテクニク以外にはどこに
も行きませんでしたが、3週目からはパリのいろんな
大学で開かれているセミナーに参加してみることにし
ました。
まず、3週目の火曜日には、オルセー大学でピロ二
(Pilloni)さんの「過収束p進保型形式の族の幾何的な
構成」に関する講演に、3週目の木曜日にはジュシュ
ー(Jussieu)大学でラベス(Labesse)さんとクローゼ
ル(Clozel)さんの「twisted trace formula」の講演に
参加してきました。ジュシュー大学での講演は、まだ
全然勉強したことがない分野の話だったので全然分か
らなかったのですが、ピロ二さんの講演は自分の分野
と近いこともありいろいろと興味深い話が聞けました。
正確な主張は覚えていませんが、有限スロープ過収束
ジーゲル保型形式の古典性定理が(ある場合は?)証
明できた、と発表していました。
ジュシュー大学ではこれからほぼ毎週、Clozelさんら
を中心としてtrace formulaについての連続講演をし
ていくらしいので、せっかくなので滞在中に少しでも
勉強してきたいと思います。

数学以外では、これまでは大学とアパートの往復でほ
とんどどこにも出かけていなかったのですが、3週目
の木曜日には、シェネヴィエさんにPort Royalにある
レストランに連れて行ってもらい一緒に食事をして
ワインをおごってもらい、次の金曜には丁度両親が
定年退職記念でパリに旅行に来ていたので一緒にパ
リの街を巡ったりレストランに夕食に行ったりし、
4週目の木曜日にはジュシュー大学で偶然会った元
坂内研留学生のフランソワ君に喫茶店でコーヒーを
おごってもらいました。
シェネヴィエさんとは、ベライシェさんと共同研究
に至った経緯についてや博士課程中にどんな論文を
読んできたかなどを話して、フランソワ君とは、フ
ランソワ君の近況(9月からジュシュー大学に入学
したそうです)や坂内研の人たちの近況について話
をしました。坂内研究室のみなさんによろしくと言
っていました。

写真の載せ方がようやく理解できたので、これまで
に撮った写真をいくつか載せたいと思います。

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エコールポリテクニクのあるRER B線のLozere駅
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駅から大学に行くまでに登らなければならない坂道
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滞在中の研究室
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オルセー大学構内で見つけたキノコの群れ
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学校帰りによく散歩で通りかかる公園
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先週あったデモの様子1
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先週あったデモの様子2
by keio-itp | 2010-10-21 05:18 | 2010年エコールポリテク・中村

2週目

みなさん、こんにちは。パリのエコールポリテクニク大学に
滞在中の中村です。

第一週目は、今回の滞在でお世話になっているシェネヴィエさ
んとほぼ毎日会っていたのですが、先週はシェネヴィエさんが
引っ越しをしなければいけなくて学校に来れないということ
だったので、ほぼ毎日、朝から夕方まで自分のオフィスにこ
もって一人で数学をやっていました。研究のほうは(後にも
書きますが)いろいろと手の付けられる問題ができてなかなか
楽しくできたのですが、シェネヴィエさん以外にはまだ知り合
いがいないので満員の学食で昼ご飯を一人で食べるときの寂し
さでなかなか大変でした。


研究とは直接は関係ない話なのですが、シェネヴィエさんの新し
い引っ越し先は築50年くらいのアパートらしく、二ヶ月くら
い前からアパートの内装を今風に全部自分でリフォームしてい
るということでした。リフォームを業者さんに頼むのはお金が
すごくかかるから、壁や天井で崩れてるところなどは全部塗り直
して平らにしたり、床も全部新しく張り替えたり、平らになっ
た壁や天井を今度はペンキやニスで奇麗にぬったり、バスタブ
を新しく付け替えたり、キッチンも新しく作り変えたり、など
とにかくリフォームの全部の作業を業者に頼まないで、自分で
最初からやったということでした。こういうことはフランスで
は普通のことなのか、それともシェネヴィエさんがすごいのか
どっちなんだろうと思いました。

研究の話ですが、先週の前半はシェネヴィエさんにもらった
「p-進体Q_pの場合の任意次元のクリスタリン表現のZariski稠
密性」のプレプリントを細かいところまで読んでいました。
専門的な話になって申し訳ありませんが、この論文では「アフィ
ノイド上の三角(φ、Γ)加群の(ガロア)コホモロジー」をp進
体がQ_pの場合に計算していて、この具体的な計算結果を使っ
て「普遍的な三角表現の族」を構成しています。僕もこれまで、
シェネヴィエさんとは別の方法でBペアという対象を用いて、一
般のp進体の場合に三角表現の族を構成していたのですが、その
族が普遍的な性質を持つかどうかまでは分かっていませんでした。
そこで、今回の共同研究では「p進体が一般の場合に普遍的な三角
表現の族を構成する」ということが一番の目標です。シェネヴィエ
さんの論文を読んだところ、計算ではQ_pの特性をいろいろと使っ
ているように見えて、それを直接一般のp進体の場合に一般化する
ことはどうやったらいいかよく分からなかったので、まずは、この
一般化に役立つであろう「アフィノイド上のBペアの理論」や「ア
フィノイド上のBペアとアフィノイド上の(φ、Γ)加群の比較」に
関してこれまで知られていることを調べたり、成り立って欲しい命題
の証明を考えたりしていました。が、まだまだ先は長そうです。
完成していない研究内容に関して、ここまで具体的に書いていいの
かよく分からなくなってきましたが、上の問題を考えていたら、パリ
に来る前から個人的に考えていた「Bペアの明示的相互法則」って
いう問題でもアフィノイド上のBペアと(φ、Γ)加群の関係が重要
になることに気付いて、こっちのほうは大分進展したような気がしま
した。
by keio-itp | 2010-10-06 04:32 | 2010年エコールポリテク・中村

1週目

初めまして、またはお久しぶりです。
昨年度のITPプログラムで2010年2月1日から3月31日まで、
パリのエコールポリテクニク大学に名目上は所属し、実質上は
ポアンカレ研究所で開催されていた「ガロア3ヶ月セミナー」に
参加していた、慶應理工学部数理科学科坂内健一研究室特別
研究助教の中村健太郎です。今年度も同ITPプログラムによって、
パリのエコールポリテクニク大学に9月16日から11月21日
までの約2ヶ月間滞在させて頂けることになりました。これから
約二ヶ月間、滞在先での生活(日常生活、研究生活)をこのブロ
グで報告させて頂きたいと思います。読者の皆さん、約二ヶ月間
どうぞよろしくお願いします。

前回の滞在の主目的は、同時期に開催されていた「ガロア3ヶ月
セミナー」というものに参加して毎日講義を聴いて勉強する、と
いうものだったのですが、今回の滞在の主目的はエコールポリテ
クニク大学のシェネヴィエさんという若い先生と一緒に「三角表
現」という整数論的対象についての共同研究をすることです。
目的が違うだけでなく住居に関しても、前回は大槻君という坂内
研究室の同僚も同じセミナーに参加しアパートも一緒に借りて同
棲生活を送っていたのですが、今回は一人だけの滞在です。なの
で、目的も場所(前回はポアンカレ研究所で今回はエコールポリ
テクニク大学)も住居も前回と異なるので、前回とはまた違った
感じの滞在になるのかなと思っています。

さて、16日の夜にパリに到着し、今日で約一週間が過ぎたので
すが、細々とした諸手続きもだいたい終わり、ようやく普通に研
究ができる状況になりつつあります。一週間を簡単に振り返って
みると、

まず、17日(金)は、大学の場所が分からないだろうから、と
いうことで、シェネヴィエさんがわざわざDenfert Rochereauと
いう地下鉄の駅で待ち合わせをしてくれて、そこからRer Bという
路線の電車に乗って20分くらいのLozereという駅にあるエコール
ポリテクニク大学にまで連れて行ってくれました。Defertはパリの
中心近くにあり、カフェやレストランなどが多くある賑やかな街
なのですが、大学のあるLozere駅周辺には小さい雑貨屋と小さい
カフェが一軒くらいしかなく、すぐ近くに山があるような自然が
多くとても静かなところでした。で、駅から出ても大学が見えな
いので、大学はどこにあるのか?とシェネヴィエさんに聞いてみ
たら、この山の上にある、という返事でした。慶應も矢上キャン
パスまで日吉キャンパスを通っていく時には、一つ山みたいなの
を乗り越えなくては行けませんが、エコールポリテクニクに行く
ためには矢上の場合のよりももっと本格的な山を登らなくてはい
けません。自分のかなり大雑把な感覚では、日吉駅から矢上キャ
ンパスに行くときより4、5、6倍くらいきつい山を登らなくて
はならないような気がしました。で、山を登り切ったら緑色がき
れいな芝生が一面に広がっていて、農場みたいなのがあってそこ
に馬が放し飼いされていたりして、さらにその向こう側にようや
く大学のキャンパスや学生寮などがある、といった感じのところ
でした。で、ようやく大学の数学科の建物に着いたら、まずはこ
の2ヶ月間自分のオフィスになる部屋の鍵やインターネットのア
カウントをもらったり、食堂の場所、コーヒーの作り方(エスプ
レッソを作る機械の使い方)を教えてもらったりしました。

次に大学に行ったのは、(月曜日はシェネヴィエさんが家の用事
で忙しいということだったので、)21日の火曜日で、その日も
シェネヴィエさんがDenfertで待ち合わせをしてくれて電車で一緒
に行きました。電車の中で途中、パリに来て始めて数学の話になっ
て、これまでにお互いが「三角表現」に関連してやってきたことや、
これからやろうとしていることを確認したり、共同研究をする上で
の参考文献を教えてもらったりしました。で、大学についてからは
大学に入るためのカードキーや食堂でのお金の払い方、図書館の使
い方を教えてもらって、あと余った時間は自分の研究の復習みたい
なことを少しやりました。

22日水曜日は、一人で大学に行って、午後から来たシェネヴィエ
さんと3時くらいに会って、最近主要部分が書けたという作成中の
論文のコピーをもらいました。この論文は「p-進体Q_pの場合のク
リスタリン表現のザリスキー稠密性」という定理に関するものなの
ですが、滞在中の共同研究の具体的な主目標は、この定理をQ_pで
はない一般のp-進体の場合に一般化する、ということです。帰りの
電車の中でもらった論文をちらっとだけ読んでみたら、色んな新し
いアイデアが含まれているようでした。

昨日、23日木曜日は、ストライキで電車がほとんど動いていない
ということなので、大学には行かなかったのですが、再びDenfert
でシェネヴィエさんと午後三時に待ち合わせをして駅前のカフェで
コーヒーを飲みながら今後の研究打ち合わせみたいな感じのことを
しました。普段は、そのカフェはそんなにお客さんがいなくて静か
で数学の議論等がし易いそうなので、そのカフェを選んだみたいだ
ったのでしたが、その日はストライキで町中でデモがあったりして、
パリの街全体がお祭り騒ぎみたいになっていて、デモの帰りにその
カフェでお酒を飲もうというお客さんが続々と集まって来て店は満
員になり、僕とシェネヴィエさん以外は宴会状態みたいな感じにな
て来て、途中からは周りがうるさくて何も議論できなくなったので、
僕らもビールを飲んで帰りました。

まだ始まったばかりで本格的には何もやってませんが、共同研究で
どんな新しい研究成果が得られるようになるか自分でも楽しみです。
二ヶ月間ゆっくり頑張りたいと思います。
by keio-itp | 2010-09-24 22:15 | 2010年エコールポリテク・中村

最終週

パリ滞在中の坂内研の中村です。

ほぼ二ヶ月間のパリ滞在も残すところあと2日となって
しまいました。IHP(ポアンカレ研究所)でのガロアセミナー
とその後に続いた研究集会も一昨日の金曜でフィナーレを
迎えてしまい、全てが終わったという感じで今は祭りが終わ
った後のような虚脱感を感じています。今回の滞在で結局一
度もエコールポリテクニクに行けなかったのと受け入れ担当
のコルメツさんと個別に議論する時間が取れなかったので、
それらが少し気がかりになっていますが、とにかく全てのイ
ベントが終了しました。
で、昨日は大学時代の後輩二人と僕の三人でパリ郊外(?)
にあるSt-Germain-En-Layeという場所に観光に行って来ま
した。お城が駅前にあるのですがその隣にものすごく広大な
公園(庭園?)が広がっていて今までパリでいろいろ行った
中で一番いいなと思える場所ですごく感動しました。

大槻君は先週帰国し、その後今週一緒にアパートに住んでいた
大学時代の後輩も今日の早朝帰国してしまったので、今日から
帰国の火曜までパリに来て初めての一人暮らしとなってしまい
ました。部屋は別々だったので一緒に住んでいても頻繁に会話
するというわけではなかったのですが、料理をする音、咳をす
る音、食事する音など、生活の音である意味会話した感じにな
っていたのですが、一人になって部屋が突然静かになってしま
いました。それで急激に寂しさがこみ上げて来ています。

さて先々週から小研究集会が始まり、今週はFontaineさん60
歳記念研究集会だったのですが、今週の研究集会は先週までの
なんとなくゆったりとした雰囲気とは一変してなんだかすごい
盛り上がりでした。(例えばワイルスさんのような)すごく有
名な数論幾何の研究者の講演ばかりだったのですが、あまりの
盛り上がりのせいか疲れのせいなのか、講演内容はほとんど頭
に入って来なかったんだけど、講演者や会場の聴衆の雰囲気は
強く印象に残りました。で、木曜から本当に疲れ切ってしまい
木、金は研究集会を休んでしまいました。先々週のまだ少しゆ
ったりとしていた小研究集会はまだ少しは内容を覚えていて、
中でもPaskunasさんという巨漢の若手数学者の講演は今まで聞
いたこともないような新しい内容の話で個人的にものすごく面白
いなと思いました。

今回がブログの最後の更新となると思うので、今回の滞在のまとめ
的なことを書きたいと思うのですが、今回来てよかったことは、
まずは、(1)シェネヴィエさんと実際に会ってお互いの研究
について議論出来たこと、とそれと(2)p進ラングランズ対応
周辺を研究しているパリ周辺の数学者が普段どんな感じで数学を
やっていてどんな感じに理論が発展していくかを(なんとなくだ
けど)実際に見ることが出来たこと、でしょうか。
数学的な内容ももちろんいろいろと勉強になったけど、それ以上
に数学に対する姿勢のようなものがより勉強になりました。(以
前のブログで書いたかもしれないけど)こういうことは日本でそ
の人の論文を読んでいるだけではなかなか感じることができない
ことだと思うので、今回慶應ITPでパリに滞在してこういう雰囲気
に実際に触れることが出来たことは自分の今後にとって貴重な経験
になると思います。なんとなくまとめる感じに出来たような気がす
るのでこれで今回のパリ滞在のブログを終わりにさせて頂きたいと
思います。関係者のみなさん、どうもありがとうございました。
by keio-itp | 2010-03-28 20:53 | 2010年エコールポリテク・中村

あと3週間

パリ滞在中の坂内研の中村です。

早いのか遅いのかなんだかよく分かりませんが、1月か
ら始まった(僕は2月から参加でしたが)ガロアtrimes
terも(最終週のFontaineさんの研究集会も含めて)
残りあと三週間を切ってしまいました。2月中は(特に
下旬くらいは)日本恋しさと体調の悪さからなのか「こ
れいつ終わるんだろう、早く終わらないかな」とかたま
に考えたりしてしまっていたのですが、いざ終わりが見
えてくるといろいろな考えがよぎるものです。

今週で講義形式の講演は全て終わりで、来週はp進ラング
ランズ対応関連の小研究集会、再来週(最終週)はFonta
ineさんお祝い研究集会という予定です。で、今日で月曜
午前担当のFargueさんの連続講義が「p-divisible群のca
nonical sub groupの存在定理」を最後に証明して終わり
ました。どの講義が終わった後もみんなで拍手しているの
ですが、今日の講義終了後の拍手は最後なだけにいつもよ
り少し大きくてさらに授業に参加していた他の先生がワイ
ンのようなものを用意していてそれをFargueさんに贈って
いたりして、さすがだな、とつい思ってしまいました。Fa
rgueさんの講義がすばらしかったからそれに感動して個人
的にその先生が贈り物をしたのか、それともパリでは連続
講義が終わった後毎回誰かが何か贈り物をするという習慣
なのでしょうか。いずれにせよ、僕自身もFargueさんに何
か贈りたい、と思うほどすばらしい講義でした。

明日は、ColmezさんとChenevierさんの最後の講義があり、
それも楽しみです。特にシェネヴィエさんは、僕の今やって
いる研究とすごく関係していることを研究していて(という
か僕がシェネヴィエさんの研究にもろに影響されているだけ
なのですが)、講義が終わったあとお互いの最近の研究につ
いて話し合う予定なので、明日シェネヴィエさんの講義が終
わったら思い切り拍手したいと思っています。実は今回、パ
リに来たのもガロアtrimesterに参加するという以外にシェ
ネヴィエさんと話し合うというのも第二(むしろ第一?)の
目的でした。で、先週までは講義の準備で忙しいから講義が
終わってから話し合おうとシェネヴィエさんに言われてたの
で、その話し合いがもうそろそろ実現するのかと思い、一昨
日くらいから急速に緊張感が高まって来ています。僕はこう
いう状況になると、緊張のせいか何なのか、町中でその人の
幻覚(錯覚?)のようなものよく見るようになるのですが、
昨日と一昨日休日でパリの町中を散歩していたときも、あ、
シェネヴィエさん!と思ってよく見たら全然違う人だったと
いう体験が数回ありました。この体質は一体何なのでしょう
か?

この話の流れのついでに、パリに来てからの自分の研究の進
捗状況について少し報告させていただくと、二次元の場合の
Zariski densityの論文は、主要部の証明はだいたい書けてあ
ともう少しで書き終えられそうです。来週から研究集会が始
まり日本人の研究者の方々も多く来るので今週中には一通り
書き終えたいと思っています(がうまくいくでしょうか?)。
書いてる段階で自分なりに面白いこともいくつか気付けたり
もしたので、個人的にはこの進捗状況に少しは満足してもい
いのかなと思っています。とにかく明日からも気を抜かない
で書き進めていこうと思います。
by keio-itp | 2010-03-09 06:19 | 2010年エコールポリテク・中村

4週目

パリ滞在中の中村です。今日でパリに到着してから4週目に突入しました。
2月の最初と比べると、だいぶ気温も上がってきました(朝でも7、8度
くらいあります)。太陽が出ている時間も2月最初と比べるとだいぶ長く
なってきたような気がします。2月最初は朝7時くらいはまだ真っ暗で、
アパートを出る朝8時半でもまだ夜明け前のような感じで、しかも毎朝小
雨か小雪が降っていて、地元の通勤に行く人たちもコートやマフラーや帽
子などをきっちり着込んで白い息を吐いたりしててさすがパリ!って勝手
に感心していたのですが、最近はアパートを出る時間には普通に日が出て
いるようになって来ました。パリの冬が初めての自分にとっては夜明け前
っぽい感じが少し幻想的で好きだったので、少し残念です。で、気候が変
わってきたせいなのか慣れない生活で疲れたせいなのかコーヒーの飲み過
ぎなのか、先週からなぜか日中は眠く、そのくせ夜になると全然眠れない
という体調になってしまっています。なので昨日の日曜日はどこにも外出
しないで一日中アパートでごろごろしていました。そのせいか、今日は少
し体調が平常に戻ってきたようです。

さて、僕(と大槻君)が参加しているGalois trimesterですが、自分にと
ってすごくためになる講義が多くほんとに来てよかったと思っています。
どんな講義があるかを(全部ではないけど)一応書いておくと、Fargue
さんの「有限群スキーム、p-可除群のHarder-Narashiman フィルトレイ
ション」、Colmezさんの「GL_2(Q_p)のp進局所ラングランズ対応」、
Chenevierさんの「definiteな四元数体上の保型形式の族のinfinite fern」、
Bergerさんの「p進ガロア表現と(φ,Γ)加群」、Clozelさんの「p進代数
群のp進表現論」などがあります。今までこれらの人たちの話は研究集会
でしか聞いたことなかったんだけど、こうして大学院の授業のような講義
形式で体系的な話を聞くと、よりその人達の(数学的または人間的)個性
が講義に現れているような気がして、その人達の論文を読むだけでは伝わ
って来ないようなその人たちの持つ数学観のようなものがうっすらと伝わ
ってくるような気がします(気のせいでしょうか?)。これらの講義は、
これからもなるべく全部出席しようと思っていますが、滞在中に論文を仕
上げる(あと自分の新しい研究を進める)という目標もあったので、残り
の時間は図書館やアパートで自分の研究をしたり論文を書くようにしてい
ます。

次に、食事についても(これからITPで留学する人に参考になるかもしれ
ないので)書きたいと思いますが、朝はバゲットかケロッグとヨーグルト
と紅茶、昼は研究所内の売店で売ってるサンドイッチかサラダとカフェオ
レ、夜はアパートで自炊といった感じです。それと週に一回くらい日本人
の参加者と町中にあるレストランへ夕食を食べに行ったりします。(先週
は大槻君の誕生日会も兼ねて日本人の参加者4人でレストランへ行ったの
ですが、そこで食べたチョコレートケーキはすごくおいしかったです。)
自炊は、大槻君と二人で作っているのですが、大槻君は今まで自炊経験が
ほとんどなく、僕もそれほど凝った料理は作らなくて適当に自炊するタイ
プなので、今日は何を作ろうかということが毎日問題に上がります(昼ご
飯も一緒に食べることがあるのですが、昼ご飯を食べ終わると「さて今日
の夜ご飯は何にしよう?」とお互い尋ねるのが最近のお決まりになってい
ます。)で、実際に何を作っているのかというと、最初は、冷凍食品のピ
ザや缶詰のソースを掛けただけのパスタ、それとサラダという何となく殺
風景な感じの食事が多かったのですが、ある日僕がトマトやタマネギのス
ープを作ってからはほとんど毎日色んなスープを作って食べています。初
めはスープは僕が作っていたのですが、最近は相方の大槻君がスープ作り
にはまってしまったらしく、一晩煮込んだらどれだけおいしくなるのかを
確かめるために一昨日の土曜夜から日曜夕方にかけてずっと弱火で野菜ス
ープを煮込んでいました。で、今日は昨日のスープが余っていたのですが、
さらに新しいエビのスープを作ろうということになぜか勢いでなってしま
い、今日の夕食はスープ二種類とパンとなってしまいました。でもおいし
かったです。
by keio-itp | 2010-02-23 08:11 | 2010年エコールポリテク・中村

はじめまして

はじめまして。このたび慶應義塾ITPで2月1日から3月31日ま
でパリのエコールポリテクニクへ短期留学することになりまし
た慶應数理坂内研究室助教の中村健太郎です。
二ヶ月間、現地での日常生活及び研究、勉強生活についてこの
ブログで報告させて頂くことになりますが、どうぞよろしくお
願いします。

同じ研究室の大槻君が一足先にパリに滞在しているのですが、
僕も大槻君の参加している「Galois trimester」と呼ばれる連
続セミナーに参加するためにパリへやって来ました。Galois t
rimesterはパリ市内のポアンカレ研究所で開かれているので、
実際はエコールポリテクニクではなく、毎日ポアンカレ研究所
へ朝から通っています。そして、大槻君と住んでいるアパート
も同じで、朝ご飯も一緒に食べて、地下鉄に乗ってポアンカレ
研究所に行くのも一緒で、セミナーが終わって帰るのも一緒で、
夜ご飯も一緒に作って食べているので、今後必然的に大槻君の
ブログと内容が重なってしまうことが起きてしまうかもしれま
せんが、その点はご了承して頂けたら幸いです。

さて、そのGalois trimesterのテーマは、「ガロア表現の保型
性、ガロア表現のp-進family、p進局所ラングランズ対応、法
pラングランズ対応」というものです(ブログによると、今
Bostonに滞在中の栗原研の三浦君もハーバード大でこれとほ
ぼ同様のテーマの授業を受けているようです)。これらは自
分の現在の研究テーマと密接に関係しているのですが、この
ようなセミナーに参加して、この分野の一流の人達と触れ合
えることは自分にとってまたとない良い機会だと思うので、
短期留学中はいつも以上に頑張って研究や勉強に励んでいき
たいと思います。

で、そのGalois trimesterですが(大槻君が既に説明してい
ると思いますが)、平日(月〜金)の毎朝9時半から12時
半までの三時間講義があり、午後は火、水、金は13時半か
ら4時半までの三時間講義、月、木は少し変則で一時間半の
研究発表が13時半から一個か二個あるといった感じです。
僕は先週月曜の夜にパリに到着して、セミナーに参加し始め
たのは先週火曜からだったので、今日月曜の講義が終わって
ようやく全ての講義に一通り参加したことになりました。途
中参加なので付いて行けないくらい内容が進んでいたらどう
しよう、という不安も最初はすごくありましたが、一月中の
ほとんどの講義のノートがダウンロード出来るようになって
いるし、講義も学生向けなのかすごく丁寧に証明を付けてく
れる講義がほとんどなので、途中参加でもなんとか付いてい
けそうです。個人的な感想ですが、多くの講義が構成がよく
できていて、しかも多くの命題に簡潔な証明を付けてくれる
ので、これがブルバキの伝統があるフランス数学なのか、と
一人勝手に関心していました。
by keio-itp | 2010-02-09 04:46 | 2010年エコールポリテク・中村