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慶應義塾ITP派遣生からの現地報告書です


by keio-itp

物理と数学

LENSにてインターンシップ中の阿部です。

量子カスケードレーザーが光るようにするために周辺環境の整備をしていると先週報告しましたが、先週中に一通り自分のできるところまでは進めることができました。ただ、その先に進めるには電源が必要で電気関係の仕事をしている人たちに依頼していたものがまだできあがってきていません。もう一台別仕様の量子カスケードレーザーも光らせたいということで、こちらも周辺環境整備をスタートさせています。

実験があまり進行していないので、今週はこのインターンシップのキーワードである数学(数理科学)と自分の研究分野の物理(量子エレクトロニクス)との関係を書いていこうかと思います。
実験が研究テーマであると数学を使って新しくこの現象について説明できたということがなかなかできません。特に私の分野では実験でその現象が見えるのか、見えた現象は正しいのかというのをorder of magnitude(いわゆる概算)という考え方をするので、数学というよりは算数をやっている感覚です。
ただ、こういったことをするにもまず、数学的なモデルがあってこそできることですから数学は使えないといけないわけです。教科書や論文に書いてあるから正しいのではなくその意味あいをわかって使うということが大事になります。また、数学的には非常に複雑な形の解をしていたとしても展開したとき、高次の項は物理現象として効果がないとみなし無視することができることがよくあります。このような場合、非常に形が簡単になって物理的な解釈がしやすくなります。こういった解釈をするにも数学、物理の両方についての知識が必要になってきます。
ということで、数学的手段を使って新しいことを見つけるのは理論の方に任せることが多いですが、物理現象の解釈のために数学を使っていきます。
こちらのグループでも実験結果が出るとその結果に対して議論します。その際には式変形をして相手に説明したりするということが日常的にあり、そこここに数式が書いてある裏紙が転がっています。これを見ると日本と変わらないなーと思います。ただ、議論はばりばりのイタリア語ですが。

今週は研究所周辺の写真をupします。
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研究所は大学に付設して作られています。LENSの建物は手前の建物の奥に少し見えているものになります。この周辺の建物は上空から見ると正方形のかたちをしています。
ちなみに手前に見える石畳風の道を毎日歩いて研究所に向かっています。

【今週のイタリア語】
cachi
これは何と柿で日本語と同じでした。
なぜこの話になったかというと、私がお土産として持っていた某お菓子、柿の種を食べてもらいました。このお菓子の名前は形が柿の種に似ているからだよと教えるために英語でpersimmon seedだと言っても「persimmonは知らない」と言われてしまいました。persimmonを英伊辞典(google)で調べてみるcachiで「これはイタリアにもある」となりました。自分は同じ発音ということに非常に驚きました。それから渋柿の話となり、「渋柿は干し柿にするといいんだよ」というと、「干し柿とは何か」「レーズンににたものだ」「ドライフルーツの類だね」と言ったりしながら、この話題でだいぶ盛り上がりました。
お味は顔をしかめるようなことはなく、みんなそれなりに食べていました。だいぶ時間が経ってしまいましたが、日持ちするものを持っていってよかったと思いました。
# by keio-itp | 2014-01-22 06:45 | 2013年LENS・阿部

2週目


シカゴ大学の花井です。初日の記録的な寒さ(日本でどの程度報道されていたか詳しくはわかりませんが、その日のシカゴは北極地点よりも寒かったらしいですね)も過ぎ去り、本格的にこちらの生活がスタートしました。

Peter B. Littlewood教授とも無事に会うことができ、研究の方針について話し合いました。私のこれから行う研究対象は、半導体にレーザーを当てることで生成する励起子(ポラリトン)系と呼ばれる系で起こる超流動の問題です。

超流動とは、様々な液体・気体を非常に低温まで冷やすことでその粘性が完全に消失し、抵抗を全く受けることなく粒子が流れるようになる、(電気抵抗が0になる)超伝導と類似の大変興味深い量子現象です。金属を冷やすことでできる超伝導は、低温で電子と電子に弱く働く引力により対を組むことで実現しています。一方、私の研究対象である励起子系は、半導体にレーザーを当てた際にできる電子とホールが互いのクーロン引力によって対になる(この対を励起子といいます)ことで超流動状態が実現する予言されています。
このような励起子の超流動状態は、通常の金属超伝導と異なり、非常に強く引き合っています。このような、たくさんの粒子が互いに強く相互作用している系は強相関系とよばれ、その理解は現代物理学の重要な課題のひとつです。さらに興味深いことに、一度できた励起子は、光に戻って消えてしまう(対消滅)ため、レーザーによる励起子の連続供給必要となる、本質的に非平衡な系となっています。

この系のような、強相関かつ非平衡な系の物性はほとんど理解されていないのが現状です。私はLittlewood教授のもと、その2つを同時に扱う理論を構築し、具体的にその性質の計算をしていこうと考えています。

写真はダウンタウンにでかけた際のものです。シカゴは芸術の街で、建物がどれも美しく、すべて異なったデザインをしています。

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また、ダウンタウンを流れるシカゴ川(ミシガン湖に流れています)を撮影しました。寒波によって凍った表面が割れて、きれいな模様になっていました。

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# by keio-itp | 2014-01-21 15:27 | 2013年シカゴ大学・花井

Week 14-18

Happy New Year (although it’s too late.)!!!

This is Hiroshi @ UCD. Sorry. I’ve skipped the update of my blog since the end of last year because my research became busy (and I’m tired of writing the blog. It’s a joke.) For New Year ’s holiday, I was having a good time at Los Angeles and San Francisco. Here we celebrate New Year with the firework event, so we went to see the festival in Fisherman’s Wharf. BTW, my lab friends said that in Spain they are eating lots of grapes in time to toll of a bell. How we celebrate New Year depends on the place.

I played too much so now I’m focusing on only research. Until last week, I built the tapered fiber fabrication system and optimize the fabrication method. Tapered fiber is a thin optical fiber processed by heat. And, I built the measurement system for a microcavity, too. Furthermore, I already measured the performance of a microcavity and got a good result. This is first step of my research and the work which I built from the beginning. This is only the work to catch up. But, I was really happy when I got the result. Now I already built the measurement system for optical comb. From next week, I try to generate the optical comb by using my system.
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# by keio-itp | 2014-01-19 05:56 | 2013年 UCD・工藤

あと二週間

13週目「最近の日常」

お疲れ様です。UCバークレーの高井です。
ここ最近のバークレーは最高気温が20度前後でかなり暖かいです。
もう夜もパーカーで十分なくらいで、日本の春くらいの気候です。
僕は寒さに弱いので、日本の冬の4分の3くらいを回避できてラッキーでした。
ただ、日本は2月が一番冷えますよね…。
帰国時に気温差で風邪ひかないように気を付けます。

今週は、火曜日に同部屋の町田さんの先輩方がいらっしゃっていて、お昼をご一緒させていただきました。
皆さんは今週Baltimore で行われる AMS のカンファレンスに出席するついでに、研究打ち合わせでいらっしゃったそうです。
皆さんが、研究打ち合わせしている感じといい、ごはんの時の雑談している感じといい、本当の兄弟みたいで、うらやましく思いました。

さて来週からは春学期の開始が始まります。
ラストスパートを掛けて頑張ります。

今週は考古学棟を探検したときに発見したティラノサウルス(と思う化石)の
写真を。
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# by keio-itp | 2014-01-17 13:55 | 2013年UCバークレー・高井

初エッチング

LENSにてインターンシップ中の阿部です。

量子カスケードレーザーが光るようにするために周辺環境の製作を先週からスタートさせました。この量子カスケードレーザーは日本製(浜松ホトニクス)です。レーザーを光らせるために電気を流す必要があります。また前回書いたように周波数を一定にするためには温度制御が必要です。この温度も電気的に制御します。

ということでレーザーと電流、温度ドライバー間を結ぶための中継となる基板の製作からスタートとしています。ちょっとした回路も組まれてはいますが、すでに研究室内で部品は選定されているので、回路のレイアウトが私の仕事になります。基板はエッチングで配線しました。これまでエッチングをやったことがなかったので、結構楽しみでした。エッチングの原理は中学等でやった人もいるだろう銅版版画と同じです。銅を残したい部分に防食剤をぬり、腐食剤につけると防食剤の塗ってある部分だけがのこるというぐあいです。

やってみると何のことはなくただ腐食剤につけておいておくこと1時間ほどで銅が溶けました。ただ両面基板を使用しているのでこれがもうワンセットで合計で2時間かかり、その日の午後はこれでほぼつぶれてしまいました。

この基板が正常に動くか確認し、実際にレーザーを光らせるところまで今週中にできればと思っています。

フィレンツェの駅前で撮った写真を最後に載せます。
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町自体が観光地ですのでただ歩いているだけでも楽しいです。

【今週のイタリア語】
zero, uno, due, tre, quattro, cinque, sei, sette, otto, nove, dieci
数字の読み方です。
最初から0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10となっています。

郵便局で切手代を払うときにsei euroと言われ、最初英語のsayが頭に浮かび?マークが頭に浮かんでしまいました。その後無事に払えましたが・・・
# by keio-itp | 2014-01-15 17:22 | 2013年LENS・阿部